FPNの適用領域は大きく分けて次の2つが考えられます.すなわち,イントラネット内での適用とインターネット上での適用です.イントラネットとインターネットの間には一般に強固なファイアウォール(FW)が設置され,通信が大幅に制限されています(図3).このような状況を考えると両者を跨った自由な通信は現実的ではありません.そこで,両者を別々の管理対象として考えます.
イントラネットでは,内部犯罪による被害が外部からの侵入による被害に匹敵することが報告されています(図4).しかしイントラネット内のセキュリティはあいかわらずパスワードに頼るなど脆弱なものが多いのが実情です.ここにFPNを導入することにより安全性と柔軟性を両立したシステムを構築できます(図5).
一方,今後インターネットが更に発展すると,各家庭にもネットワークが入り込むようになります.その場合,企業ほど堅固ではなくても家庭内ネットワークを守るホームファイアウォールHFW(Home FireWall)が必要になると考えられます.ホームファイアウォールは厳密に通信をさえぎるものでなく,家庭ネットワークはインターネットの延長に近いものと考えることができます.ユーザは家の中と外を自由に移動したいという要求があります.このような環境にFPNを導入することにより,やはり安全性と柔軟性を両立させた通信システムが構築できます(図6).