上の図において,地球の絵は世界中に張り巡らされたインターネットを表しています.これにあらゆるものが繋がっています.このように,いつでも,誰でも,どこからでも,あらゆる情報を入手し,かつ発信できる世の中になると想定されます.このような社会をユビキタス社会と呼んでいます.
ネットワークへの接続機能は非常に小型化され,どのようなものにも取り付けることができます.ネットワークは,ブロードバンドでかつ常時接続であり使い放題です.無線技術によりネットワーク接続機器は自由に場所を移動することができます.情報発信源のある場所は,GPS(Global Positioning System)などとの連携により常に把握できます.
これからの大学での研究は,このような社会を想定して,新たな研究テーマを探していかなければなりません.ユビキタス社会で実現されるのはどのような世界でしょうか.
高齢者に優しい社会:
高齢者やハンディキャップをもつ人たちの居場所や健康状態は,遠隔地から常時把握でき,安心・安全が守られる.
省資源社会:
共有の情報はいつでもネットワークから取得でき,記憶媒体の削減を図ることができる.
アイデアのある人に有利な社会:
ネットワークを介して様々なアイデアを発信でき,新しいビジネスの発掘が促進される.
人や物が会話ができる社会:
いつでも簡単に知人と情報交換ができる.家電,車,ロボットなども仲間になれる.
この他にも,今後想像もしていなかったような応用が考えられるかもしれません.このようなユビキタス社会を実現するためのネットワークの基盤を提供するのがユビキタスネットワークです.
しかし,このように何もかもネットワークに繋がってしまうと逆に心配があります.当然クラッカーが侵入しやすい状況になります.他人の居場所や健康状態を勝手に知ることはプライバシーの侵害になりかねません.
そこでユビキタスネットワークを安全に使うネットワークセキュリティの技術が必須です.ネットワークの研究には常にセキュリティの考慮が欠かせません.