端末が自由に移動しながら通信するには無線通信が可能でなければなりません.ここで,無線通信の候補として,携帯電話網と無線LANホットスポットがあげられます(図1).現状では,通信可能エリアが広いことから携帯電話が主に用いられ,無線LANは局所的なホットスポットでのみ用いられています.しかし,携帯電話は音声を通すのが目的であり,帯域が狭く料金もかかります.今後のユビキタス通信には無線LANの普及が大きな鍵を握ると考えられます.
無線LANエリアを広げるにはアクセスポイント(AP)の整備が不可欠です.無線端末は最寄りのAPを通して通信を行います.ところが,APどうしは一般に有線で結合されており,APの設置に多大な工事費を伴うという課題があります.移動や移設が簡単ではないので計画的な配備が必要です.また,無線LANは電波到達距離が短く,多くのAPが必要になります.このようなことからAPの整備には多大な労力と時間がかかるのが現状です.
そこで,APどうしを無線で結合できればこのような課題が緩和され,無線エリアの拡大に寄与することが想定できます(図2).当研究室では,このようなAPの整備に係わる課題を解決するためにWAPL(Wireless Access Point Link)と呼ぶシステムを検討しています.WAPLはAPを設置していくだけで無線LANのホットスポットエリアを拡大していくことができます.障害が発生したとき,ネットワークの輻輳が発生したときでも,APの再整備が容易に行えるという特徴があります.